「イエスを告白する霊」

A. 分からないことばかりの霊の世界

 10年前に教会員のKさん(当時14歳)が、病院で天に召されたとき、数人の看護師さんたちが、「シャワーがなかなか出なくていつもより時間がかかったわ。Kちゃんがいたずらしてたのよね〜」と口ぐちに言っていました。その数週間後、Kさんの母親が妹さん(当時小学生)と入浴していた際、「フフッ!」という笑い声を聞いたといいます。「あれは絶対、Kだわ」と母親は言いました。
 霊の世界は、分からないことばかりです。愛する人の霊ならよいのですが、いわゆる心霊現象ばかりに気を取られていると、生活に支障が出たりします。そんなときは、「キリストの名によって出て行け」と言いましょう。これで悪霊を追い出すことができるのです。
 使徒パウロが、占いの霊に取りつかれた女から悪霊を追い出しました。

B.聖書より

彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。使徒言行録16章18節
 パウロたちは、祈り場に行く途中で、占いの霊につかれた女に会いました。女は未来を預言することで、彼女を所有する主人たちに金儲けをさせていました。その女は、パウロや使徒たちの後ろについてきて「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」と叫びます。この内容は、正しいようにも聞こえますが、実はサタンが自分の利益のために叫ばせていました。何でも自分のために利用するのがサタンであり、天使を装い悪事を働くサタンが最も危険なのです。
 パウロは、キリストによって女から悪霊を追い出し、真の霊的な方面に目覚めさせました。イエス様を救い主として受け入れる謙遜さを持った時、悪霊は出て行き、他人の深い欲求を満たせるような、真に霊的な人となれるのです。

C.ヴォーリズ記念病院ホスピス「希望館」 ホスピス長・細井 順 医師

 滋賀県近江八幡市にあるヴォーリズ記念病院のホスピス「希望館」の細井 順医師は、信仰の家庭に育ったクリスチャンです。ホスピス医の大きな仕事は、がんやエイズで死に行く患者の肉体的な痛みと心の奥深い痛み―魂の痛み、霊的な痛み(スピリチュアル・ペイン)―を和らげることです。そのため細井医師は、回診のとき白衣を着ず、低い椅子に座って横たわる患者の目線で、同じ弱い人間同士として、まずは患者の心の痛みを聞くようにしています。
 細井さんは浪人時代のある日、放蕩息子の例えが書かれているキリスト教のトラクトを読み、浪人をして予備校に通う自分の姿と放蕩息子とを重ねて、初めて今まで父親の愛と幸せな環境で育てられていたことに気づきます。人の役に立つこと、何か困っている人のために何かしてあげなければいけないと感じ、最初は外科医を選びますが、父親が癌になったのをきっかけにターミナルケアを学び、ホスピス医になることを望みます。ところが、ホスピス「希望館」の準備中に、細井さん自身が肝臓がんになりました。
 先生は、術後も再発せずに仕事をしておられます。手術後、患者の気持ちが分かるようになり、人間はがんがあってもなくても関係なく、その日、一日平安に過ごせればよいのだと気づきました。そして、死への恐怖は苦しみの一部であり、それよりも一人で死んでゆく孤独感と寂しさを共有してもらえることを患者は望んでいる、ということを知った細井先生は、時折聖句を引用しながら、ホスピスの患者の立場で励ませるようになったそうです。
 浪人時代に放蕩息子と自分を重ね合わせ、イエス様を救い主として受け入れる謙遜な信仰を持った細井先生は、更に、癌患者となった体験から、「自分が何かしてやろう」というこの世的な発想を悔い改め、他人の深い欲求を満たせる、真に霊的なホスピス医となったのです。

D.結び

 イエス様の霊を受け入れた時、私たちは、人の魂の欲求を満たすような、霊的な人となれます。この世的な発想ではなく、神さまの愛と聖霊の力で満たされて真に善い業を行いましょう。
 御翼2010年8月号その1より


  
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